チュートリアル データは、[Help] メニュー → [Download Tutorials and Examples…] を選択し、[CityEngine Tutorial] からダウンロードできます。
本チュートリアルでは、CityEngine をどのように典型的な都市計画タスクに利用できるかを学習します。
本チュートリアルでは、CityEngine をどのように典型的な都市計画タスクに利用できるかを学習します。ここでは、街の中心に 9 つの建物の建設用地がある仮想の開発エリアを例として使用します。最終的なゴールとしては、ショッピングや、居住区、商業区を含めた複合地区をデザインします。本チュートリアルでは、このエリアの用途地域に沿った概略的なデザインを構築します(本チュートリアルは、Matthias Buehler および CityEngine を日常的に使用しているスイスの都市計画会社 SEILER&SEILERの協力を得て作成されています)。
当然のことながら、実際の都市計画のプロセスはこのチュートリアルで述べるような簡単な事例ではなく、より高度で複雑です。現実世界では、これらのプロセスは、ステークホルダーの利益や、予算、プロジェクトの期間、流動的なターゲット、インフラの許容量(公共交通機関、供給と廃棄)、周囲の建物、自然保護など、さまざまな制約による影響を受けます。今回の例は 2 時間で行うように簡略化していますが、現実世界では数か月から数年単位の時間を要します。CityEngine はこのような反復的な性質のプロセスを処理するのに特に適しています。CityEngine Web シーンで提案するデザインを共有すれば、クライアントからのフィードバックが容易に得られます。CityEngine の典型的な使用例として、形状や位置の調整、[Inspector] ウィンドウによる属性の変更でデザインの改善が簡単にできます。適用結果はすぐに FAR (延べ床面積) などの数値レポートに反映されます。
本チュートリアルでは、ポイントやポリゴン等のフィーチャを出発点とした半自動的ワークフローにおいて、CityEnigne のプロシージャル モデリングがどのように適用されるかを見ていきます。建物の配置パターンを独自にルールで記述しようとすると非常に複雑な CGA コードになってしまうので、本チュートリアルでは、フットプリントを配置するための手っ取り早い手段として、ポイントや手動で作成したフットプリント シェープを使用することを提案しています。特に小から中くらいのサイズの領域であれば、ほとんどの場合、この方法の方が直感的でより柔軟に利用できるはずです。
CityEngine はこのようにプロジェクトのさまざまな状況や規制、計画工程で使用することができます。
演習 |
---|
・Part 1: Urban Planning ツール |
・Part 2: ゾーニング |
・Part 3: 土地利用の定義 |
・Part 4: 建物の高さとセットバックの定義 |
・Part 5: ゾーニング定義の反映 |
・Part 6: マスタープラン |
・Part 7: 2 つのランドマーク建物を追加 |
・Part 8: 屋外空間のデザイン |
以下は、本チュートリアルで使用する CGA ファイルの一覧です。
・いくつかのルールは、寸法を表示するテキストを生成します。
・すべてのルールは CGA レポートを生成します。
・FAR 値のレポートを行うには、parcelArea 属性が必要です。属性マッピングについての詳細は、チュートリアル、またはマニュアルをご参考ください。
・いくつかのルールの中には “スタイル” が定義されています。これらのスタイルは本チュートリアルで定義されたあらかじめ設定されたモデルの例であり、自由にカスタマイズすることができます。スタイルについての詳細は、チュートリアル、またはマニュアルをご参考ください。
スタイルの例:
ここでは、開発フレームワークの定義に焦点を当てます。通常、各地域や都市には公的機関により定義された特有の用途地域の体系があります。簡略化を行うために、空間的状況(分区圏、都市の構造、隣地)に基づいた開発フレームワークを定義します。まずは、異なる用途地域の割合と配置を定義し、建物の高さ制限とセットバック ラインを指定します。
ここでは、例として 建物用地 A を使用して、空間的条件によりどのように用途地域が決定されるかを見ていきます。以下は、定義された条件です。
これらの条件に基づいて、建物の一階部分に入る店舗や、上階のサービス店、建物の裏手の居住区などが並ぶ主要道路に沿って土地用途を計画します。
建物の高さの上限を設定します(通常これは既存の建物と用途地域によって定義されます)。
太陽光の入射角度を調整し([Scene Editor] ウィンドウの [scene light] レイヤー)、建物間の空間に直射日光が入るかどうかを確認することができます。ここではこのステップは省略します。
最初に定義したゾーニング定義が市街地中心部としての十分な密度を確保しているかをテストします。シーン内には既に小さいテスト用のシェープ(Footprint レイヤー)があり、建物を配置するロケータ―(下図の緑の枠内のシェープ)としてこれを利用します。実際ここには 1 つのみの建物が配置されるのではなく、9 つ(3×3 グリッド)の高さ 50 m の多目的タワーを建て、[Inspector] ウィンドウの [Reports] セクションで FAR (延べ床面積) を確認します。
既に設定されているスタイルを適用することもできます。
現在の FAR 値は 0 になっています。正確な値を取得するには、建物が占める用地の面積を入力する必要があります。一番簡単な方法はルール内でユーザー設定値として値を定義することです。以下の操作を行います。
この値は手動で設定するほか、[Inspector] ウィンドウ内でも設定できます。
もちろん、これは大まかなデザイン アプローチですが、これによって FAR に応じた施設数をすぐに割り出すことができるのです。ここからはより詳細な建物の配置と、全体的なデザインを詰めていきましょう。
ここまでの操作で用途地域の中にスタート地点を定めることができましたので、次は開発エリア全体のスケマティック デザインに焦点を当てます。
まず、基本的な類型に基づいて初期レイアウトと建物用地の主要な利用用途を選択し、用途地域への適合性を可視化します。次に建物用地の一つに焦点を当て、類型とデザインをさらに改善していきます。最後に屋外空間に焦点を当て、構造要素を追加していきます。
ここでは、さまざまな用途を定義した L 字型シェープ、U 字型シェープ、長方形の建物シェープが混在した初期レイアウトを準備してあります。これは [Inspector] ウィンドウから属性を変更することによりデザインを簡単にカスタマイズできますが、用途値の構成やフットプリントの形状、グリッド上の配列などに対してあらかじめ設定してあるスタイルを使用することで、この作業をより簡単に行うこともできます。
ではここで、建物にルールを適用して用途地域に反している建物がないかを可視化します。建物の一つを選択し、建物の高さを制限に反する値、例えば 20 階建てなどに変更します。するとこの建物は用途地域で許容されている高さ制限の上限を超えることになり、赤色になります。
本チュートリアルの建物ルールには、例えば建物の総容積など、建物を実際にデザインするための属性がいくつか含まれています。建物の全体の高さを使用して建物の各部分を切り離して最低限の建物のデザインを行います。ここからの作業では volumeChangeFloorID、columeChangeRotation、relVolumeChangeSplit の3 つの属性を使用します。
建物用地の中心にズームインし、将来的に開発エリアの玄関部分となる場所をデザインします。隣接する 2 つの建物のデザインを変更してランドマークとします。4_Masterplannning_02.cej ファイルを開くとこれらの結果を見ることができます。
4_Masterplanning_03.cej は屋外空間の基本デザイン結果を示しています。次の段階では、さらにズームインして開発エリアのちょうど入り口に位置する場所の屋外空間をデザインして行きましょう。エリアの入り口には池や樹木を追加して、空間の快適さを増します。
本チュートリアルでは時間も限られているため、このような小さな概略的なデザインに焦点を当てましたが、実際の都市計画のシナリオにおいても CityEngine で実施可能な有用な方法をいくつか示すことができたことと思います