現状のテリトリーを可視化

本演習にかかる時間はおよそ 30 分です。

本演習では、営業担当エリアのエリア分けの情報を持つ行政区画のテーブル データを使用して、既存のエリア分けを可視化したテリトリーを作成する方法を学びます。

演習

演習用データのダウンロード

  1. BA Pro チュートリアル-テリトリー プロジェクトパッケージをダウンロードします。
  2. ダウンロードした「BA Pro チュートリアル-テリトリー.ppkx」を開き、[演習1] マップを開きます。

Business Analyst データ ソースが最新のデータセットに設定されていることをご確認ください。

既存の営業担当エリア情報テーブルの確認

プロジェクトパッケージはデフォルト設定では、以下の場所に展開されます。

C:\Users<ユーザー名>\Documents\ArcGIS\Packages\BAProチュートリアル-テリトリー_xxxx

既存の営業担当エリア分けの情報を持つテーブル データをマップに追加します。

  1. [マップ] タブ → [レイヤー] グループの [データの追加] をクリックします。
  2. [データ] を選択して、[データの追加] ダイアログを開きます。
  3. 演習データ内の Excel シートを選択し、[OK] をクリックします。

    <上記展開先>\commondata\userdata\既存の営業担当エリアリスト.xlsx\担当エリア$

Excel の読み込みができない場合、事前準備に記載の Microsoft Access データベース エンジンのインストールが必要な場合があります。

[フォルダー] に上記展開先のパスが接続されているため、[フォルダー] から Excel ファイルに接続することができます。

[コンテンツ] ウィンドウに「担当エリア$」レイヤーが追加されます。

  1. 「担当エリア$」レイヤーを右クリック → [開く] をクリックし、テーブルを開きます。

テーブルに、以下の情報が格納されていることを確認します。

  • 町丁字等のコード
  • 町丁字等名
  • 顧客数
  • 担当拠点コード
  • 担当拠点名前
  1. テーブルの [×] ボタンをクリックして、テーブルを閉じます。

営業担当エリアの情報を持つ町丁・字等ポリゴンの作成

上記テーブル データを使用して、営業担当エリアの情報を持つ町丁・字等ポリゴンを作成します。

  1. ArcGIS Pro 上部の [コマンド検索] で「標準区画」と入力します。
  2. 検索結果の中の [標準区画商圏の生成 (Generate Standard Geography Trade Areas)] ツールをクリックして開きます。
  3. 以下のように設定して、[実行] をクリックします。
    • 区画レベル:町丁・字等 (JP.Blocks)
    • 出力フィーチャクラス:世田谷区営業担当エリア
    • 入力タイプ:テーブル
    • 区画 ID テーブル:担当エリア$
    • 区画キー フィールド:町丁字等コード

[コンテンツ] ウィンドウおよびマップ上に、「担当エリア$」テーブルの属性が結合された状態で、世田谷区内の町丁・字等ポリゴンが追加されます。

現状のテリトリーを可視化

前のステップで生成した世田谷区の町丁・字等ポリゴンに含まれる営業担当拠点の情報を元に、現状の担当エリアを再現したテリトリーを作成します。

  1. ArcGIS Pro 上部の [コマンド検索] で「テリトリー インポート」と入力します。
  2. 検索結果の中の [テリトリー ソリューションのインポート (Import Territory Solution)] ツールをクリックして開きます。
  3. 以下のように設定します。
    • 入力データ:世田谷区ポリゴン
    • テリトリー ソリューションの名前:現状の営業担当エリア
  4. [レベル設定] パラメーターを以下のように設定します。
    • レベル名:ベース
    • ID フィールド:町丁字等コード
    • 名前フィールド:町丁字等名
    • 上位 ID フィールド:担当拠点コード
  5. [他を追加] をクリックし、追加で以下のように設定します。
    • レベル名:テリトリー
    • ID フィールド:担当拠点コード
    • 名前フィールド:担当拠点名
  6. 下図のように設定されていることを確認し、[実行] をクリックします。

マップ上に、現状の営業担当を可視化したテリトリー ソリューション レイヤーが追加されます。なお、テリトリーの色分けは画像と異なる場合があります。

テリトリー ソリューション レイヤーは、テリトリー デザインに関連する各種レイヤーが格納されるグループ レイヤーです。デフォルトで格納されるレイヤーは、以下の 2 種類です。

  • ベース レイヤー:テリトリーを構築するための最小単位のレイヤー (レベル 0)
    • ベース レイヤーとして設定できるのは、ポリゴン フィーチャおよびポイント フィーチャのいずれかです。
  • テリトリー レイヤー:テリトリーや地域、区域など、何らかのグルーピングに基づく階層を含むレイヤー (レベル 1~)
    • テリトリー ソリューションの作成時にレベル 1 のテリトリー レイヤーが自動で 1 つ作成され、初期設定では空のレイヤーとして出力されます。
    • テリトリー レイヤーは複数のレベルを階層的に作成することができ、それぞれのレベルでテリトリーを構築することができます。

[テリトリー ソリューションの作成] ツールを使用してテリトリー ソリューションを作成する場合、テリトリー レイヤーは空の状態で出力されますが、本演習では、[テリトリー ソリューションのインポート] ツールを使用して、レベル 1 のテリトリー レイヤーに関する設定を行った上でテリトリー ソリューション レイヤーを作成するため、初めからテリトリー分けが完了した状態で出力されます。

結果の確認

作成されたテリトリー (営業担当エリア) の結果をマップやチャートを通して確認し、改善すべき点があるかを確認します。

  1. マップ上に追加されたテリトリーの結果を確認します。

今回の結果では、下図のように一部エリアにおいてテリトリーの飛び地が発生していることが分かります。このような飛び地を解消すれば、営業の担当者は移動のロスを削減できそうです。

次に、作成されたテリトリーの顧客数の合計値を比較できるチャートを作成します。そのための事前準備として、テリトリー レイヤーに対して「顧客数の合計値」をレベル変数として追加します。

レベル変数は、指定したレベルのテリトリーに対して追加できる数値フィールドです。テリトリーを最適化する時の指標として使用されます。本演習では、ベース レイヤーである世田谷区ポリゴンが持つ「顧客数」フィールドをレベル変数として追加します。

  1. [コンテンツ] ウィンドウ上の「現状の営業担当エリアを可視化」をクリックし、ArcGIS Pro 上部に表示される [テリトリー デザイン] タブをクリックして開きます。
  2. [変数の追加] ボタンをクリックし、[レベル変数の追加 (Add Level Variables)] ツールを開きます。
  3. 以下のように設定します。
    • 入力テリトリー ソリューション:現状の営業担当エリアを可視化
    • レベル:テリトリー[1]
    • ベース レベル:ベース[0]
  4. [変数] パラメーターを以下のように設定します。
    • 統計フィールド:顧客数
    • 統計情報:合計値
    • フィールド名:顧客数
    • フィールドのエイリアス名:顧客数
  5. 下図のように設定されていることを確認し、[実行] をクリックします。

ここまでの操作で、テリトリー レイヤーに対してレベル変数を設定し、各テリトリーの顧客数の合計値を集計できるようになりました。 次に、顧客数の合計値をチャートで可視化します。

  1. [テリトリー デザイン] タブの [チャートの作成] ボタンをクリックし、チャートを作成します。

各テリトリーの顧客数の合計値を比較できるチャートを作成できました。この結果を見ると、拠点 C および E の顧客数が特に多く、拠点によって偏りがあることが分かりました。各テリトリーの持つ数値をなるべく均等にすることで、一部の担当者に負担が集中することを防ぐことができます。

  1. [プロジェクト] タブ → [保存] を選択し、プロジェクトを保存します。

まとめ

この演習では、既存の営業担当エリアのテーブル データを使用して、既存のテリトリーを可視化することができました。 さらに、テリトリーの結果をマップやチャートを通して確認し、現状のエリア分けの改善すべき点を発見することができました。

また、以下のツールの操作方法を学びました。

  • [標準区画商圏の生成] ツール
  • [テリトリー ソリューションのインポート] ツール
  • [レベル変数の追加] ツール
  • テリトリー チャートの作成

次の演習では、現状の営業担当エリアをテリトリー デザインを用いて最適化する方法を学びます。