市場シェアの把握
演習「顧客分布を基にした商圏の生成」で、顧客分布商圏を作成しました。
本演習では、顧客分布商圏に重なる町丁・字等を抽出し、顧客ポイント データと市場ポテンシャルをもとに、町丁・字等別の市場シェアを算出します。また、市場シェアとポテンシャルを 2 軸で表現するシンボルを用いて「てこ入れエリア」を抽出します。
市場シェアの詳細は、ビジネスマップ用語集「市場占有率」をご覧ください。
演習
顧客分布商圏に重なる町丁・字等を抽出します。
演習用データのダウンロード
- BA Pro チュートリアル-顧客分析 プロジェクトパッケージが無い場合は、ダウンロードします。
- ダウンロードした「BAProチュートリアル-顧客分析.ppkx」を開き、[演習2] マップを開きます。
[コンテンツ] ウィンドウおよびマップ上に「自社店舗」レイヤー、「自社顧客」レイヤーおよび「顧客分布商圏_7割」レイヤーが追加されていることを確認します。
顧客分布商圏に重複する町丁・字等の抽出
- [解析] タブ → [ジオプロセシング] グループの [ツール] をクリックし、[ジオプロセシング] ウィンドウの検索ボックスに「区画ポリゴン」と入力します。
- 検索結果の中の「重複する区画ポリゴンの作成 (Generate Geographies From Overlay)」ツールをクリックして開きます。
- [重複する区画ポリゴンの作成] ツールが開いたら、以下のように設定し、[実行] をクリックします。
- 区画レベル: 町丁・字等 (JP.Blocks)
- 入力フィーチャ: 顧客分布商圏_7割
- ID フィールド: 店舗ID
- 出力フィーチャクラス: 顧客分布商圏に重なる町丁字等
- リレーションシップ: インターセクト
- 比率: 面積比
[比率] オプションを「面積比」に設定することで、商圏が町丁・字等などの区画ポリゴンの何割と重なっているかを算出することができます。
ツール実行が完了すると、マップに「顧客分布商圏に重なる町丁字等」レイヤーが追加されます。
町丁・字等に統計データを集計する
市場シェアを算出する際には、ベースとなるポリゴンが、あらかじめ分母となる人口や世帯などの市場ポテンシャルの値を持っている必要があります。
今回は、町丁・字等に対して人口総数を集計します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックし、検索ボックスに「情報付加」と入力します。
- 検索結果の中の [レイヤーへの情報付加 (Enrich Layer)] ツールをクリックして開きます。
- [入力フィーチャ] のプルダウンから「顧客分布商圏に重なる町丁字等」を選択します。
- [出力フィーチャクラス] で、「顧客分布商圏に重なる町丁字等_人口付与」と入力します。
- [変数] で [+] ボタンをクリックしてデータ ブラウザーを開き、[人口] → [人口総数] → [2020 人口総数] にチェックを入れ、[OK] をクリックします。
- [実行] をクリックしてツールを実行します。
ツール実行が完了すると、[コンテンツ] ウィンドウおよびマップに結果レイヤーが追加されます。
市場シェアを算出する
町丁・字等別の市場シェアを算出します。
- [ジオプロセシング] ウィンドウの [戻る] ボタンをクリックし、検索ボックスに「市場占有率」と入力します。
- 検索結果の中の [市場占有率の計算 (Calculate Market Penetration)] ツールをクリックして開きます。
- 以下のように設定して、[実行] をクリックします。
- 入力フィーチャ: 顧客分布商圏に重なる町丁字等_人口付与
- 出力フィーチャクラス: 町丁字等別の市場シェア
- ID フィールド: ID
- 市場占有率の分母フィールド: 2020 人口総数
- 入力顧客フィーチャ: 自社顧客
- エリア説明フィールド: NAME
- レポートの作成: チェックボックスをオンにします。
ツール実行が完了したら、マップ上に市場シェア別に色分けされた町丁・字等が追加されます。作成したレポートを開いて結果を確認します。
[市場占有率の計算] ツールの [詳細の表示] をクリック → [パラメーター] タブの [出力レポート] をクリックして出力されたレポートを開きます。

レポートに町丁・字等別の顧客数や市場シェアが記入されていることを確認し、閉じます。
解析結果を 2 つの変数を用いて表示
2 変数シンボル(クロスランキング)を用いて、2 つの属性の関連性を直感的に理解するマップを作成します。
今回は、市場ポテンシャル (人口総数) と市場シェアで町丁・字等を色分けし、「市場ポテンシャルは高いが、市場シェアは低い」エリアを可視化します。
- [コンテンツ] ウィンドウの「町丁字等別の市場シェア」レイヤーを右クリック → [シンボル] をクリックして、[シンボル] ウィンドウを開きます。
- [プライマリ シンボル] を「等級色」から「2 変量色」に変更します。
- 色分けに使用する変数と分類方法を、以下のように設定します。
- フィールド 1: 市場占有率 (%)
- フィールド 2: 2020 人口総数
- 方法: 自然分類 (Jenks)
市場シェアの結果レイヤーのシンボルが変更され、[コンテンツ] ウィンドウの凡例が以下のように変わります。右下の色で塗られたエリアは、市場ポテンシャルは高いが市場シェアが低い=てこ入れすべきエリアであることを表します。

- [プロジェクト] タブ → [保存] を選択し、プロジェクトを保存します。
まとめ
この演習では、既存のポリゴンに重なる区画ポリゴン (町丁・字等) を抽出することができました。
また、抽出した町丁・字等に対して統計データを集計することができました。
さらに、町丁・字等と顧客ポイントを使用して、エリア別の市場シェアを算出し、市場ポテンシャルと市場シェアの 2 つの属性で色分けすることにより、「マーケティングのてこ入れすべきエリア」を可視化することができました。
また、以下のツールの操作を学びました。
- [重複する区画ポリゴンの生成] ツール
- [レイヤーへの情報付加] ツール
- [市場占有率の計算] ツール
- シンボル設定 (2 変量)